Mt.富士ヒルクライム 主催者選抜クラス4位 田中

田中です。
第14回Mt.富士ヒルクライムに参加してきました。結果は4位で今年に入ってからの無敗記録は途絶えてしまいました。

落車による怪我でレースを諦めていただけに、粘り強い走りを出来たので結果には満足しています。

内容をレポートしますので、宜しかったらご一読ください。


【レースまで】
秋から積み上げたCTLも八ヶ岳が終わる頃にはいい具合に低下しており、ちょうど二山のピークを作れそうな状態になっていました。

と、いうことで8月に超級山岳を作る計画を立て、4月後半から再び練習量を増加。乗鞍直前のCTLが大体150くらいになってるようコツコツやっていきます。

体重もG.Wの暴飲暴食ですっかり肥えて60kgクラブに再度入会!たった10日、しかも1000km走っていながら5kgも増えるん?と思いつつ、パンだけでも100個以上は食べたのでまあ納得です。

心身ともにリフレッシュして、気持ちも新たに乗鞍を目指し始めました。

一先ず基礎から鍛え直すために5月はL3を中心に2500kmほど乗り込み、後半は予想通り疲労で不調に陥ったため、レースを入れなかったのは正解でした。大切なのは8月に最高の状態に持っていくことです。

順応すれば復調するはずで、今は多少きつい位の練習で体力レベルを上げて、高強度に耐えうる体作りをしていきます。

そしてレースも近くなった5/30のこと…

富士に向けて状態を上げていこうと思った矢先、朝練中に落車をしてしまい、左半身を中心に強打してしまいました。

道路の中央に転倒してしまい、後方からは大型トラックが目前まで迫っています。あぁ死ぬんやな、と案外冷静に状況を捉えましたが、幸い目と鼻の先でトラックは停車し、九死に一生を得ました。

私が死ぬだけならまだしも、トラックの運転手の人生まで奪ってしまうところだったと考えるとゾッとします。多大なご迷惑をお掛けした事、深くお詫び申し上げます。

また、迅速な事故対応と帰路を送迎下さったケンボーさん夫妻に感謝しないといけません。こういったリスクもあるので、やはり練習は単独ではなく誰かと行うべきだと思いました。

結構な速度で体を打ち付けたので富士ヒルは絶望的と思いましたが、幸い下半身は擦過傷程度で済んだので、その日の晩にはローラー練を再開します。肋骨や肩が痛むためダンシング時は相当辛いのと、深く呼吸をすると胸が痛むので、状況は芳しくありません。

当週のヤビツ練でも全力で287W28分中頃でケンボーさんには惨敗、相当厳しい状況にDNSしたい気持ちが強くなります。

でもGiroでのゲラントトーマスの言葉を借りると、そう簡単に諦められるほど緩い練習をしてきたわけではないので、出来る限りの調整とケアに努めました。

楽観的に考えても春から-10Wほどパフォーマンスを落としており、レースで玉砕することは覚悟していましたが、怪我に負けたくなかったこと、戦友達の顔が見たかったことがあり、富士ヒル参加を決めました。

【機材変更】
春先から機材を小変更したので紹介しておきます。

まずはウェアをSUNVOLT製のワンピースに変更。G.Wに兼松さんと走った際にSUNVOLTワンピ良いですねと話したら、なんと翌日に早速SUNVOLTの橋本社長とお会いする場を設けて頂きました。(兼松さん、ありがとうございます(^^))
有り難い事にウェアを提供して下さることが決まり、通常は納期の掛かるウェア制作を突貫で作成頂き、富士ヒルはSUNVOLTワンピースで参戦することになりました。本当に感謝しておりますし、こういったご厚意はやる気を溢れさせてくれます。これが無かったら富士ヒルに参加していなかったと思います。

このワンピースは軽いのは勿論、肌触りと通気性が良くてストレスが少ないので走りに集中させてくれます。

前傾姿勢を前提に設計されており乗車姿勢の際のダボツキが最小限なので、空気抵抗も小さくなります。ポケットの収納面積が多いのも嬉しいですね。繊維探しから自分で行う橋本社長の拘りの強さと、目の肥えたシビアな選手達のF/Bが織り込まれた製品なので、きっと多くの方が満足できると思います。

レースだけでなくロングライドにも対応出来るウェアですので、幅広い層の方にオススメできます!

次にホイールをAX lightness Ultra 25T(790gの変態軽量ホイール)に変更。落車した日は装備チェックも兼ねて全力ヤビツTTを計画していた日であり、決戦装備ののむラボ6号を使用していました。幸いホイール自体は無傷で済んだのですが、スリップしたことで後輪のタイヤがバースト…予備タイヤがなく困っていたところ、大輔さんから連絡があり、変態ホイールを貸して頂くことになりました。ホンマにいつもいつもありがとうございます(-_-;)

このホイールをペラペラだの言う人もいますが、カッチリしていて、私くらいの脚力では力が抜ける感覚はありません。試走ついでにヤビツを走ってみたところ、303W(5.3W/kg)の省エネで26分25秒を記録。笑いながら普段であれば+10~15Wは上げないと出ない記録なので、機材の効果とは恐ろしいです。のむラボ6号でヤビツを走ったことはないので、どちらがいいタイムを出せるのか楽しみです。

ちなみに6号を使用したのはこれまで5回で、逆瀬川KOM(34分13秒)、花背峠KOM(18分46秒)、八ヶ岳、伊吹、菰野優勝と毎回優れた性能で私をアシストしてくれています。Ax lightnessもちょっぴり欲しいですが、私の決戦ホイールは今後も6号から変えることはないと思います。

そんなこんなで今回も色んな方のご厚意の元、装備面で相当なアドバンテージがある状態で参加することができました。豚に真珠と思われないよう、頑張らないといけません。

【レース当日】
起床は1時頃。今年も前泊していましたが最近は朝ヤビツが習慣付いてしまっているので遅くとも4時、大体は3時ごろには起きてしまうので、レースの場合はさらに早く1時には自然覚醒。もう眠くもないので風呂入って朝食をゆっくり咀嚼して食べて時間を潰します。
体重は56.8kgで前日めちゃくちゃ食べた割に軽量で、今回も過激な減量が功を奏しました。肋骨は痛みますが痛み止めを飲んで、絶対大丈夫!と言い聞かせ、3時半ごろ宿を出発。

4時ちょうどに会場に到着し、時間もあったので今回は入念にアップしました。標高も高いため例年パワーがあまり出ないのですが、今回は軽く踏んで350Wくらい出ています。

校正をし直しても値は変わらず、どうやら足の調子は良好ということが分かったので、後は痛み止めさえ効けば何とかなるかもしれない・・・と思いました。落車のおかげで足にとってはいいテーパリングが出来たようです。悪いことばかりではないですね。

ただし肋骨はやはりチクチクとしてあまり無理は出来そうにない感じ。インターバルのかかる展開になれば即アウト、ハイペースでも付いて行ける気はしませんでした。駐車場から会場に向かう途中の荒れた路面でガンガン削られ相当な弱気になってしまい、妥当なところゴールド狙い位かなと弱気でした。

到着後は知人たちと談笑しレースを待ちつつ、開始間際に本命の森本さん、兼松さんも登場。彼らの姿を見ると、自然とやる気が湧いてきます。

乗鞍ではこの人等に勝つつもりでおるんやろ?今日何も出来んかったら乗鞍で勝負になんかならんやろと思うと、やるしかないわと急に強気になりました。このころには痛み止めも比較的に効いてきて、なんだか走れそうな気もしていました。

【レース本番】
今年は伊吹・八ヶ岳チャンプとして堂々とした気持ちでスタートラインに並べました。昨年は実績もなく、周りに引け目と申し訳なさを感じながら参加していたのが懐かしいです。

今回のスタートリストでは森本さん、兼松さんの2名は勿論、嘉瀬君、とれたまさん、星野君、大久保さん辺りが気になります。(まさかの全員入賞で馬券予想は完璧でしたね笑)
特に作戦もなく成り行きでレースを楽しみ、行けるところまで行こうくらいの意気込みで、最後尾から森本さん、兼松さんと並んでスタートしました。

スタートから料金所までは例年通りパレードランで緩いペース。兼松さんの動きに合わせてどんどんと前に進出し、計測地点通過時点ではほぼほぼ最前列付近まで上がりました。

計測地点を通過してもペースは変わらずで、いつ誰が動くのかと監視の目を光らせます。
開始5分ほどしてやや縦長な隊列になり始めた頃に大野さんが先頭へ上がっていき、そのまま集団から抜け出すのが見えます。

前でレースをしていた星野くんも一緒に抜け出してたので、あまりに距離が開くようだったら追いかけようと考えていると、少しの間を置いて森本さんもブリッジしました。これは有無を言わさず追いかける必要があるので、ぐっと踏み込んで先頭にブリッジ。

ようやくレースのスイッチが入った感じで、なんだか楽しくなってきました。

後方を見ると後ろで中切れが起こってるのが見えたので、ペースを緩めずローテして後続を引き離しにかかり、2合目にも到着しない早い段階で集団は7人(兼松さん、森本さん、大久保さん、星野君、嘉瀬君、とれたまさん、私)に絞られ、3合目付近ではとれたまさんも脱落。入賞は出来そうだとホッとしたのを覚えています。

一時それなりに速いペースでレースが動いたので心配していましたが、呼吸が乱れるような強度までは上がらなかったので肋骨も大丈夫。どうやら痛み止めもかなり効いている様子です。

この頃には行けるところまで行けるという目標は消え失せ、やはり勝ちたい、少しでも上位の位置でゴールしたいと欲が出始めます。なので出来るだけ集団の人数をふるい落とそうと細かなアタックを打ったり、ハイペースで引いてみたりしますが、流石最強レベルの化け物達でビクともしません。大久保さんがドカンと上げたり、嘉瀬君が強烈なペースでけん引したりで逆にジワリジワリと削られていきます。普段ではまず味わえない展開で、楽しくて嬉しくて悔しくて不思議な感覚でした。

集団内は星野君は余裕がなさそうで後方固定、兼松さんも苦しそう(作戦でした・・・)で前に出ず、嘉瀬君、森本さん、私が引く時間が長かった気がします。

ペースも落ち着いてお見合い気味になり始めていた頃、昨年アタックをかけた4合目大沢駐車場が近づいてきたので、森本さんにそろそろ上げましょうと持ち掛け、上げてみますがやはり誰も千切れません。それどころか調子にのって荒いダンシングなんかしたものなので、急に肋骨が痛み出しますorz

あと15分や から頑張れ!と言い聞かせますが、チクチクと痛むので思わずあばら痛いねんボケー!と絶叫してしましました。(取り乱してすいませんでした(´・ω・`))

そして何を思ったのかアタックしたら痛み分散出来るんちゃうん?と訳の分からないことを考え、強めにアタック!!

集団から抜け出しているのでこのままいったるわ!とペースを維持しようと思いましたが、もう足が攣りそうになっているので無理は禁物。。当然あっという間に森本さんに詰められて再び振り出しに戻りましたが、足が辛くなった分胸の痛みは緩和されたので作戦は成功です笑

その後は目立った動きはなく、間もなく平坦区間なのであとは適当に回してスプリントで惨敗終了かなーと、甘いことを考えていました。少しで も足を残しておきたかったのでこっからは回しましょうと声掛け(フラグ)この一言で森本さんはシメシメと思ったそうです。

平坦区間がやってきたのでアウターに架け替え、今日は頑張ったなーと思い始めていた頃、再び斜度が上がり始めます。

あれ?勘違いやったんかと思っていたら、今度こそ見覚えのある上り終了のトイレっぽい建物が見えました。今度こそ終了、そう思った瞬間、森本さんが本人曰くジルベールを意識した渾身のアタック!!

ペースが速すぎて全く付いていけません・・・、嘉瀬君も思わず「森本さんやばすぎ」と呟いていました('_')

上りを終えて森本さんを視界に捉えると40~50mは差が付いていて絶望的状況。正直この時点で誰もが2位争いやと考えたと思います、兼 松さんを除いて。

何と平坦区間に入った途端に兼松さんが鬼踏みで追走を開始。この人はまだ勝負を捨てていない、そして足を溜めていたんやと気付き、これは協調しないといけないとローテに加わり残っていた力を絞り出します。ギアはアウタートップにかかり時速は50km/h超、ヒルクライムレースとは思えないスピードで視界が進みます。嘉瀬君もローテに加わり、もう二人とも死にそうな感じ。兼松さんも相当辛そうですが、「もっと踏んで!!まだ行ける!!」と集団を鼓舞します。

ジワリと森本さんの背中が近づいているのが分かります。これはもしかすると、そう思いますがもう私は最早限界に達しているので、あとは引けるところまでローテするのみ。
2回目のトンネル内で 、もう無理っすと、先頭から退き集団からも少しだけ距離が開きます。

そして最後のスプリント区間へ。前では兼松さんが森本さんを捉えるのが見えます。並んでスプリントへ。遠くてよく見えませんでしたが、なんだか兼松さんが勝ったように見えました。

最後にスプリント区間に入った私ですが、後で見返すとたった290Wしか踏めていないのに、星野君をパス、嘉瀬君もパス、大久保さんにも肉薄、皆もう限界でボロボロでした。これまで走ったレースで間違いなく一番楽しいレースになりました(^o^)




【レース後】
勝者はやはり兼松さん!そして2位は森本さん、3位大久保さん、4位私、5位星野君、6位嘉瀬君の順となりました。やはり20代sは30代sに敗れ去りました(笑)


7位は淡々と走ったトレたまさん、8位は何とグランペールチームメイトの大島さん!!お二人とも私なんかの比ではない大きな怪我を負ったのに、見事な復活で素晴らしいです(^^)/


レース後に痛みがどっと出てきて少し取り乱しましたが、そんなことより達成感で胸が一杯で、清々しい気分になっていました。勿論悔しさもありますが、落車した頃はこんな光景を見れるなんて夢にも思っていなかったですし、良くやったよなと納得しています。

なんでも諦めたらアカンなと。投げ出さなくてよかったと思います。それに怪我がなくたって今日の上位2人は飛びぬけて強かったので、万全でも順位は変わっていません。私にあんな強力な武器はありません。

インタビューを終えた兼松さんの目頭が濡れていて、なんだかこっちまでもらい泣きしそうになります。これまで無冠の帝王だったのが不思議で仕方なかったですが、ついに日本最大のレースであの山神様を倒して一番になられました。本当に、おめでとうございます。これからも一番の目標で居続けててください(^^)/



年代別では何故か選抜に選ばれなかった森田君と中村氏がうっぷん晴らしで1,2フィニッシュ!そりゃーそうなります笑森田君は単独走で59分と笑うしかないタイム、やはり変態・・・(´・ω・`)



表彰後は今年もシクロワイヤードに撮影頂けたので、無事今回の変態機材を紹介することができました!良かったらご覧ください。

やはり富士ヒルはお祭りで、本当に楽しいレースです。来年も参加しようと思えたので、自転車修行継続ですね(^o^)

【今後】
次戦は乗鞍スカイラインHCに参加します。恐らく昨年のチャンプは出てくるでしょうし、中村氏の参加は確定しているので、本番並みの意気込みで参加してきます。

そして翌日も泊り込んで乗鞍試走を計画しているので、何方かお暇な方がいれば参加お待ちしています。

それとレースはないのですが、昨年開催した乗鞍試走会を今年も考えています。昨年参加された皆様、今年もよろしくお願いします(^^)

では!

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