富士の国やまなし第15回Mt.富士ヒルクライム主催者選抜クラス優勝

Mt.富士ヒルクライム 優勝

田中です。

今年もHCの祭典、Mt.富士ヒルクライムに参加してきました。注目度の高い大会のため、既にご存知の方も多いと思いますが、結果は優勝。


今回は昨年のリベンジをするために、秋から長い時間を掛けて準備をし、万全な状態で挑みました。それでも勝てるとは思っていなかったので、只々驚いています。長く続けていると、想像もしていなかった幸福に恵まれることもあります。まずは共に戦った戦友達に感謝したいと思います。最高に楽しかった。ホンマにありがとう!

あれこれ記載してたら長大な記事となりましたが、宜しかったらご覧ください。

・富士ヒル参加に向けて
今年の富士ヒルは最大限に仕上げて挑もうと決めていました。コース適正は無し、参加選手は猛者だらけ、例え仕上げても私が勝つことは無い。そう思いながらも、やはり出し尽くした末に散りたいという願望がありました。

と、言うのも、昨年は怪我に不調にと決して万全とは言えない状態で参加し、結果は4位。
レースレポで綴った通り、終わった直後は達成感で満たされましたし、客観的に見ても実力通りの結果、状態を考えれば大健闘です。

ですが、時間が経つとどうしても悔しさが滲むようになりました。万全ならもっと何か出来たのでは?と タラレバを考えてしまい、そんな自分が情けなくて嫌でした。

悔しかったのならば、あれこれ考えるのではなく、リベンジすればいいだけのこと。
今年は言い訳の残らない仕上がりで挑むことを決意していました。何処まで高められるか期待に胸躍らせながら、長い時間を掛けて入念な準備をし、富士ヒルへ。

・レースに向けた準備
まずは本番に調子を合わせるため、年間スケジュールを見直しました。

例年は春先の菰野、伊吹、八ヶ岳の3連戦に調子を合わせ、その後一旦緩むという流れでした。レースが続くとCTLは下がり比例して調子も低下し、更に一旦緩むことで体重も急増するため、毎年5月は谷底に落ちます。

6月頃には多少復調するも、それでも春先のパワーに比べれば 物足りない状態で富士ヒルを闘っていたところがあり、今年はこれを避けるべく、レースは八ヶ岳のみに縮小。
(今の関心は峠のタイムを伸ばすこと、パワーを上げることにあるので、富士に合わせなくとも同じ道を辿っていたとは思います)

練習不足に陥ることなく秋から安定して練習を積むことができたので、富士ヒル直前のCTLはこれまでの最高値を大きく上回り162まで上昇。自分自身を納得させたい一心で駆け抜けましたが、胸張って頑張った!ということが出来ました。

勿論これまでのやり方では練習量を増すことは難しかったため、メニューについても見直し。サラリーマンなので帰宅が遅くなる日もあり、安定して練習が出来るのは朝の時間帯です。ですから、与えられた貴重な 時間を効率的に使う必要があります。

これまで朝練の大半はヤビツを走るメニューで、TSSは大体100程度と時間の割に低め。
ヤビツは下りを踏めるコースでないため、走行時間の1/4程度は足を止めており、無駄の多い練習です。そのため今年からヤビツ練は回避。今年はまだ4回、朝練では1回のみ、レース強度では一度も上ってません(昨年同時期は60回位)

今年行ってきたメニューは主に

・十数分程度の上りをL4~L5で数本上る(TSS120程度)
・アップダウンコース約50kmをSST~L6でノンストップで走る(TSS130程度)

の2種に充て、練習強度と走行時間を増して練習量のボリュームアップを図りました。
加えて朝練の余り時間や夜もローラー練で補習をして、練習量の底上げと足の適度な緊張を維持。

CTLが高まるとそれでも時間は足りず体力は余り、朝練開始を5⇒4時に早めたり、回復日の月金も70kmほど乗り込んだりと少し本質を外してしまってたところもあり、この点は反省です。未体験の練習量に体が持つのか不安もありましたが、終始故障も低迷もなく好調を維持することが出来たので、まだピークに達することなど無く、乗った分は強くなれるようです。

冬場に太り過ぎたため4月頃までキレの無い走りをしていましたが、G.W頃から峠のタイムが伸び始め、5月に入るとTTした峠全てで自己ベストを更新。絞れ具合、出力を見ても昨年乗鞍時を上回る納得の仕上がりに調整出来ました。登坂力だけで見れば参加選手の中でも相当な優位にあったと思います。

ですがレース(特に富 士ヒル)は上りが速いだけでは勝てず、様々な要素が合わさり単純ではありません。千切れることも千切ることもなく今年もスプリント濃厚、なので勝機は無いと分析していました。八ヶ岳惨敗で自分は弱いという事を痛感しましたし、苦手なコースで猛者多数とあって、入賞出来たら上出来と評価。以前のブログで書いた通り、今年はどこまで登坂力を磨けるかを楽しんでおり、勝つためのトレーニングはしていないので、高望みは出来ません。目標は最後のスプリントまで残って勝負の行方を見届けること、シクロワイアードに掲載されること(=入賞する)でした。

続いて減量について。
今年は無理のないゆっくりとしたペースで減量に取り組みました。これまで極端な減量と暴食を繰り返 し、自分の標準体重は何kgであるのか分からなくなるほど、短期で乱高下してきました。厳しい減量をすれば反動でその後過食するためリバウンドし、短期的に減らしたら戻りも早く、絞る前より太ることもしばしば。

そしてまた減量、過食・・・と負のスパイラルに陥り、これはアカンと心を入れ替え、今年は心が荒まないよう慎重に減量しました。

ピークに肥えていた年始明けから富士ヒルまでに絞ったのは約13kgで数値だけ見れば頑張っていますが、6か月掛けて減らしたためペースは500Kcal/dayと無理のない範囲。CTL160の練習をしているため消費カロリーも多く、結構好きな物を食べれたのでストレスは小さかったです。

こうしてブログを書いている現在も反動はなく、レース後というのに 少し多めに食べた程度で済みました。これまでレース後は連日1万Kcal以上食べていたことを考えれば、大きな大きな進歩です。裏乗鞍も近く、それにまだ走りたい峠が沢山あります。間髪入れず来週末も東海地方のアホな練習に参加するつもりなので、明日からも摂生!


これまでのどのレースよりも用意周到に準備をしてきたので、冒頭から長々書いてしまいました。

最後の最後、直前に落車を2回したり、風邪を引いたり、やっぱりトラブルに見舞われる富士ヒルとなりましたが、幸い走りには何ら影響もなく、最大限に仕上げられたので、その時点でもう目的を達していました。期待と、時に不安を感じながら没頭した8か月でした。
昨年乗鞍で燃え尽きて引退と話していた私が、まさか更にモチベーションを上げて自転車に取り組むことになるとは夢にも思っていなかったです。この世界にゴールは無く、やるほどに熱意が増していくようです。歴の長い選手になるほどに達観したことを語りますが、私は何時までも未熟で夢を見れる人間でありたいです。矛先が競技や自転車でなくなってしまったときも、何かの形で情熱を注ぎ続けたいです。

レース機材
レースレポの前に今回の変更機材を紹介します。今回のレースではSunvoltの新製品であるS-ride STを導入しました。メッシュセパレートワンピとどちらで走るか最後まで悩んだのですが、抜群のフィット感と整流の良さという点を重視し、STを選択。


昨年乗鞍でS-rideの試作品を使用した山神様に対し、乳首をさらけ出す変態になってまで勝ちたないですとイジったところ、お前も来年はこれ着るんやからと予言されましたが予言的中!ただしST、ワンピ共に山神様が着ていたSLに比べメッシュは荒く、STはビブの紐もあるのでちゃんと乳首は隠せるのでご安心ください。

STはBMI17台の私が着ても余剰がないほどタイトな着心地で、たぶんオフにはきつくて着れない気がします。Newウェア試着会の際に一目ぼれし、無理言って作ってもらったお気に入りのウェアです。着る人を選ぶウェアであるとは思いますが、熱心なサイクリスト、特にクライマーなら問題なく着れるとは思います。(その他様々なバリエーションがあり、使用者の体型や用途に合わせたウェアを選べます)

レースで一番使用率の高かったメッシュセパレートワンピについては他選手のブログ等を参照ください。私も裏乗鞍、乗鞍はこちらを着用すると思います。富士ヒルでは入賞者皆がワンピを着る中、私だけジャージ着用で優勝!皆と被らんウェアで勝てたのでこれはちょっぴり嬉しかったです(^^♪

感受性豊かであれば良いインプレが出来ると思うのですが、そんなセンスは無く。それにウェアは文章を読むより実際に着てみるのが一番と考えます。肌に直接触れるものなので効果を体感し易く、自転車パーツと比べれば安価で優先的に投資したい機材です。良いパフォーマンスを引き出すには如何にストレスを小さく出来るかが鍵です。今回のtype-Sシリーズはお手ごろな価格なので、興味がある方は是非!

その他は特に変化なく慣れ親しんだ機材を使用。
ホイールも八ヶ岳ではライトウェイトに浮気したものの、今回からのむラボ6号に戻しています。最高にかかりがよいホイールで、未だ敗北は昨年の乗鞍のみ。ついに富士まで勝ってしまいました(*^^)vライトウェイトを抑えきれる脚力はなかったです。。

全身隈なく納得の機材で揃えているので、あとは自分が頑張るのみ。自転車に今以上の性能を求めていないので、機材への関心が無い今日この頃です(自転車業界的にはアカンやつ)

・レース当日
3時に自然覚醒。体重計はないので体重不明ですが、前日夜に銭湯で計測したときは55.6kgで恐らく同じか少し重い位。引き締まり具合も最高で、身体面は文句なしの仕上がり。
1時間のレースなら朝食もジェル1個位でええかなと思いつつ、念のためパンを2個摂取し、あとはジェルを間食。

今回は近場の宿を確保していたので会場駐車場は利用せず、宿の駐車場にてアップ。
8か月ぶりに完璧に疲労を抜いたため、足が軽すぎることに違和感を覚えるも、緩くはなくしっかり踏めており抜群の手応え。昨年乗鞍以上のパフォーマンスとコンディションで富士ヒルを迎えられたので、まずは安堵です。不安があるとすれば今週はあまり心拍を上げていないので、レースでタレるかもしれないというだけ。

スタート会場には6時を少し過ぎた頃に到着し、ライバル達への挨拶を一通りすませた後にトイレへ。長蛇の列で時間ヤバいかも?と思いながら時計を持っていなかったので一先ず列に並びます。そしてナカジさんが偶々通ったので時間を尋ねると6時54分とスタート6分前・・・。
大慌てでスタートラインへ戻り、急いで荷物を橋本社長に預けて整列、大体5列目くらいで横は高岡さん、その横に兼松さん。あまり位置取りが重要なレースではないですが、屈指の実力者たちの近くなので良い場所を確保出来ました。

エントリーリストを確認していなかったので、誰がいるのか確認しようと周りを見渡すと、本当に豪華な顔ぶれ。年を重ねるごとにレベルが上がっており、今年もまさにホビーレースの祭典です。


私にとって主催者選抜は憧れで、雲の上の方々が集まる煌びやかな印象というのは今も変わりません。このクラスで走らせて貰えるのは光栄なことですし、当然のこととは思いません。何時まで闘えるレベルでいられるか分かりませんが、もう暫くはここで戦えるように頑張らないと。

そんな事を考えながら、レースがスタートしました。

・レース前の作戦
勝機は無いと思いつつ、簡単に負けるつもりもなく、自分の出来る最良の走りはするつもりでした。HCとはいえないこのコースであれば、私より強そうな選手は多数おり、全員はチェックできません。ただ、如何なる 展開でも山神様と兼松さんが遅れることはないはずで、確実に優勝争いに絡むと予想。あとは王道のHC展開になれば実力が互角な星野君と俊介が要注意。

でも具体的にどうやって戦えば・・。

仕掛け所は4合目を過ぎた約十数分、日頃から追い込んでる時間帯でペースを熟知しており、斜度も少し上がるため比較的にアタックも有効なはず。しかし昨年の兼松さんブログでも書いてありますが、富士ヒルにおいては30秒程度のアタックは何の意味もありません。どうすればいいのか考えていたところ、前日に突然キリPからアドバイスがありました。



そんな考え方もあるんやなと感心しました。普段はチョケてるトマトおじさんですが、昨年まではJPTで走っていましたし、一緒に走っていてもただのアタッコ大好きおじさんではなく、所々クレバーさを隠し切れていないおじさん。こんなん書いたら俺のおかげで勝てたとか絶対チョケますが、まあ半分正解です笑

今回の参加者を考えると竜太郎選手、清宮選手などが居り、森本さん等は確実に緩いペースにはしたくないはず。勿論私もそう考えていたので序盤からハイペースになれと祈っていましたが、恐らく私から動かなくとも強豪たちが勝手に動いてくれるはず。そこに合わせないように注意して温存すれば、かえってこれはチャンスかもしれないと思いました。

キリPが書いている通り、昨年のように1合目までのハイペース合戦に率先して参加してリストラを進めると、それはもう兼松さんや森本さんの思うツボです。ちょっと勇気を出して様子見しようと思っていました。個の力で何とかしようとしてきたHCですが、今回は周りを使ってみるレースにしてみることを試みることに。丁寧に走れば後半に必ずチャンスが一度か二度は来るはずなので、その時は期を逃さぬように中途半端な動きにせず、最後まで踏み切ろうと計画。

・レース本番
レース開始し、まずは鉄砲玉を頼んでおいた梅ぴょんが上げていき(ありがとう(^^))最初は少し速いかな?と思いましたが、料金所からはサイクリング。それでも有力どころはしっかり前へ前へ集まっていくので、私もしっかりと前目に付けることは意識。

昨年と違い全くペースが上がらないまま1合目を通過し、後ろを振り返る必要もないほど集団は巨大なはず。俊介や高岡さん等が先頭にいる時間が長かった気がしますが、ローテも上手く回らず、やはり誰も先頭を牽きたがりません。

そろそろガツンと上げんとアカン、と昨年の私なら焦り(今年もかなり焦っていましたが)、恐らく自分から動いていたと思います。ですが周りも同じく焦っているはずで、恐らく私が動かなくとも誰かがいくはず。

それが有力どころだと幸運、と見守っていると森本さんが痺れを切らしたのかダンシングで加速して集団から抜け出していきます。きたっ!と思い後は誰かが追っかけてくれることを期待、しかし先頭付近にいた嘉瀬くんや武田さんはこれを追わず、距離が開いていきます。

ここで少し検討。
2年前は森本さんと兼松さんの2名で逃げ切ってますし、私と森本さんが本気で回せばワンチャンあるかもしれないなと。それに、ここまで心拍も上げず体が冷えていたので、失敗しても暖機運転には出来ると思いました。逃げ切れる可能性は恐らく1割もないので、何方かといえば後者の理由が大きかったです。

上げるのはこの一回きりと決めて、加速して森本さんへブリッジ。昨年の乗鞍1,2位での逃げにテンションが上がったのも束の間、2分程度で簡単に吸収され、その後再びガクッとペースダウンして振り出しに戻りました。レース経過10km程度だったかと思いますが、まだまだ集団は30名ほどは居そうでした。

肝心な強烈スプリンターたちの姿は近くに見えませんが、残っている可能性も高く、まだ周りの選手たちもペースを上げたいはず。ここからは元通りの作戦に戻してローテも最低限の参加。無駄な争いには加わらず、集団前方でヒラヒラしてました。森本さんや俊介、さらに兼松さんも集団前方で頑張っているので、これはキリPメモ展開やなと一歩引いたところで動きを観察。森本さんはちょっときつめ?俊介は息が荒い(いつも荒いけど)、兼松さんは謎ですが何時もの不気味さはないかも??という印象。その他の選手も何名かいたと思いますが、特に意識はせず。

そうこうしていると何の前触れもなく、俊介、星野君、私の3名での逃げる展開が形成。(なんで逃げになったのかは忘れました)
ここで初めて星野君の存在を確認、今まで後方で足を貯めていたはずでノーダメージに近いはずのためチャンス。俊介がどうするか聞いてきたので、ここが掛け時かもしれないと考え、全開で回そうと言いかけました。

・・・が、斜度が緩い区間でまだ集団の大きな後方が有利、さらに消耗したところで後ろに追いつかれると斜度の上がる4号目以降不利になります。それに焦らずとも追いつかれたところでもう一度期は来るはずと考え、本気でいかずペースで回し、運良ければ逃げれる位で行こうと提案。

そんな逃げが決まるはずもなく簡単に吸収され、潰したのはたぶん森本さんか兼松さん。
いずれにしても足を使ってくれたはずなので、この逃げもジャブにはなったはず?

そしてまた牽制状態に入り、本当に難しいレースやなと思いつつ、残りの距離を確認するとそろそろ4号目の大沢駐車場がやってくる頃。キリPからアドバイスをもらう前から、勝負所は大沢駐車場少し過ぎたところの急坂からと思っていたので、勝負の時が近づきます。

相対的に見れば私より周りの方が消耗しているはずで、全開アタックしたら星野君以外は振り切れる可能性も十分あるはずと思いつつ、やっぱり勇気が出んわと何時もの弱気がチラチラと。

そんなことを考えながら4合目1km手前位の何の特徴もない平坦区間にて、ローテ順が来て前で走っていると次ローテが中々上がってこず、振り返ると10mほど集団と距離が・・・??
なんでそんなことになったのか理解できなかったですが、幸運にも力を使わず逃げれる形となりました。絶対違うと思いますが、何故かその時は、もしかして私に危険性はないから泳がしても問題なし、だから後ろは牽制モード?と思い無性にイラっと来たので、ならこっから逃げ切ったると。

サイコンのパワーメータの値を見て310W位目安で淡々と走り始めました。そうしてると森本さんがブリッジ、さらに遅れて星野君がブリッジしてきました。後ろとは距離が開いており、メンバー的にもこれは勝ち逃げだと確信、星野君もこの逃げに懸けますと宣言していました。

状況は淡々と踏んでいた私に対し、少し間を開けて追いかけた森本さんにはダメージ、さらに後から来た星野君はかなりのダメージが入ったはずで、私に非常に有利な展開。
でも昨年チェーン2回落として乗鞍圧勝した森本さんの脅威を誰よりも知っているのは私です。これぐらいのダメージで倒せるはずがないと思ったので、また2位争いなんかなと此処まできてもやはり弱気。

しかし森本さんはローテに参加せず、これは本当に余裕がない様子で、大沢駐車場目前で遅れ始め、何と星野君と2人だけになってしまいました。

富士ヒル2位以上がほぼ確定、そんなこと全く考えてもいなかったので、そこからは冷静でなかったです。星野君の様子を確認するとまだまだ余裕がありそうで、斜度がありそうなところもアウターでスイスイと上っていき、これは敵わなさそうやなと。対して私も余裕が残っており、アタックも何度か打てそうな雰囲気ですが、相手の余裕度と後方の脅威に警戒して動き出せませんでした。

これは昨年乗鞍の時と同じパターンで、消極的に攻めて2位で妥協してしまうやつや、、と自己嫌悪気味。

お互いに申し訳程度のジャブは繰り出すものの淡々とローテしていたので、星野君はスプリント勝負を所望?と思っていました。そしてあっという間に奥庭駐車場を過ぎて平坦区間へ。

後方は全く見えず逃げ切りは確定で恐らく決着はスプリント、それなら駄目元でロングスパートやなと計画。

しかし意外にも星野君が平坦区間入って間もなく強烈なアタック。今年はTTの舞台でも大活躍しているので、平坦は得意でしょうし、平坦で勝負したかったんかと。警戒すらしていなかったので2mほど距離が開きましたが、淡々といかれたら絶対に追いつけないので無理して踏んで埋めます。

この時点で星野君は相当に厳しそう、私もイエローゾーン。振り切れるかと私も我慢比べでカウンターアタック、しかしキレはなく降り切れず。

めっちゃキツイ状況ですが、楽しかったですし、興奮していました。ブログでも度々書いている通り、星野君を良きライバルと思っています。その相手と富士ヒル優勝を懸けて最終局面を走っており、互いにギリギリの状況。

こんなおもろい状況もないなと思えて、弱気な気持ちもどっかに吹っ飛んでいました。

そしてスプリント区間へ。
私にスプリントは出来ないので決めていた通りロングスパート。もうどうなっても1分ちょっとでレースが終わるので、出し惜しみもなく、ありったけの力をペダルに込めます。
後ろを振り返ると星野君と少し距離が開いてます。

そこからはもう振り返らずひたすらペダルを回すのみ。最高に苦しい。

何やこの状況は?富士ヒル勝ってまうんか?そんなんあり得るんか?限界に近い状況でも頭は意外と冷静で色んな事を考えながらゴールはもう目の前。

ウェアを正さんとアカンわ、とか妙なところにまで気がいってウェアのファスナーを上まで。

そしてゴール、私にしては珍しく自然とガッツポーズし、声が出ました。ついに掴んだビックタイトルです。

・レース後
一切予想していなかった優勝で、喜びとか感動ではなく唯々驚き。そしてすぐさま星野君の元に駆け寄り固く握手。私がどれだけ強くなろうとも彼も強くなるので引き離せず、今日も完全に互角で決着は展開の差でした。いい刺激を貰えてます。全日本TTも頑張って!

続々と上がってくる戦友達から祝福されたり、インタビューを受けたりして徐々に勝ったんやな、、ということを実感し喜びを噛み締めました。その後は気が抜けて緊張感のないアホな話をしてリラックス、レース参加でこの時間が一番好きです(^^)/

幸い雨にも打たれず下山し、表彰等済ませ帰路へ。色々とあった気もしますが、長々書きすぎたので割愛。


きっといろんな方のブログで後述は書かれるはずと他力本願しておきます!

最後にウェア提供だけでなく、レースサポートで多分にお世話になったSUNVOLT橋本社長はじめスタッフ一同へ。この場を借りて、改めてありがとうございました!



・統括
八ヶ岳のレポートにて岐路に立っていると書きましたが、もう少し競技も頑張る道を選びました。落ち込むという事は、それはそれだけ楽しめている事の裏返しです。悔しさを感じなくなったときが引き際と思いました。

そして続けた先に今日が待っていました。富士を勝つということは、アマチュア日本一を名乗っても許されるほどの栄冠です。ここまで来るのは簡単ではなかったので、だからこそ格別に嬉しく思えます。

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」というイチロー選手の有名な言葉があります。毎日自転車に乗り続けて935日目、本当にとんでもないところに来れたと思えました。


・今後
さて、富士が終わればいよいよ乗鞍です。

今後は裏乗鞍⇒乗鞍と出走します。裏乗鞍は昨年のリベンジがしたいのと、やはり乗鞍が好きなので急遽エントリーしました。昨年は思い出すのも嫌になるほど苦しんだ1時間でしたが、今年はどうなるやら?俊介や矢部さんも参加と聞いているので、激戦必至です。


富士を勝てばアマチュア日本一と書きましたが、それがゴールではなく、私が目指すのは乗鞍です。難易度、選手の仕上がり、あらゆる面で乗鞍は別格で決戦です。競馬でいえば富士は宝塚記念、乗鞍は有馬記念かなと思ってます。(競馬を知っている方なら何となく分ってもらえる頂けるとちゃいますか)

私が完全に仕上げていたのに対し、ライバル達は仕上がり切っていません。乗鞍ではこれまで以上に警戒されることもあり、今の実力では十分と言えません。勝つに足る実力で当日を迎えられる様、残り2か月緩まず練習してきます。

では。

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